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【中編:技術と誇り】「おじいちゃんおばあちゃんに、一番うまいもんを届けたい」

前編>の高橋本部長が描いた戦略を実行に移すのは、現場の「人」です。 現在、ミキサー食の製造を一手に担い、その技術と精神を神戸工場へ継承しようとしているのが中部工場。数々の工場の立て直しを成功させてきた吉井工場長に、ミキサー食づくりにかける想いと、神戸へ送り出す人材への期待を語ってもらいました。

職人の指先から、デジタルの数値へ。「勘と経験」で戦い抜いた日々の記憶

――長年、中部工場で守り続けてきた「ミキサー食」が、いよいよ神戸工場へ移管されます。改めて振り返って、中部で作り上げてきたミキサー食とは、吉井さんにとってどんな存在でしたか?

僕も最初はただの調理師で、ミキサー食とか介護食には全く関心がなかったんです。でもある時、会社から「介護食の開発に力を入れてほしい」と言われて、当時あったペースト状の食事を一口食べてみたんです。その時、衝撃を受けましたよ。「何これ?」って。「これを、楽しみであるはずの“食事”として提供していいものか」と。「自分たちのおじいちゃんおばあちゃんに、もっとおいしい食事を食べてほしい」そこが僕の原点であり、開発のスタートでした。

だからこそこだわったのが、ナリコマの強みでもある「だし」なんです。例えば、ほうれん草のペーストを作るにしても、味がぼやけていると醤油と砂糖でごまかしがちで、そうなるとただ味が濃いだけのものになってしまう。 僕はそうじゃなくて「だしで伸ばす」ことにこだわったんです。素材の味を「だし」の風味で引き立たせる。 

ただ、これには苦労もあってね「だし(水分)」を入れるってことは、その分、ほうれん草自体の量が減って栄養価が下がってしまう。そこをどうカバーして栄養価を維持するか、開発チームに入り込んで必死に作りました。製造現場でも、これは本当に職人芸だったんです。 以前、「マスコ」っていう石臼みたいな機械を使っていたんですが、なかなか上から具材が落ちてこない。だから、横から「だし」をチョロチョロと足しながら、絶妙な加減で落としていくんです。これこそまさに「テクニック」で、ベテランがやるといい塩梅になるけど、新人がやると水っぽくなったり、「だし入れたっけ?」ってなったりする。

それくらい手間暇かけてでも、僕がやりたかったのは「本物の料理」なんです。現場の子らによく言うんですよ。「スプーン持ってきて、一口食べてみ?」って。 見た目はペーストかもしれない。でも口に入れた瞬間、「マジで肉じゃがやん!」ってなるから。食事支援を必要とするお年寄りは、何かあっても吐き出せないし、文句も言えないかもしれない。だからこそ、僕たちがプライドを持って、本当に美味しいものを届けなきゃいけない。それが僕のこだわりですね。


――
今度はデジタルの神戸工場へ渡すわけですね。アナログで苦労した分、機械化への想いも複雑なのではないですか?

そら、複雑ですよ。でもね、誤解を恐れずに言えば「やっとここまで来たか」という安堵の方がデカいかもしれないです。中部工場では、例えば「鶏肉200キロに対してだしがこれだけ」って決まってても、最後にピッチャーのだしが残ってたら「あれ?入れたっけ?」って人の記憶や感覚に頼る危うさが常にあったんです。

それが神戸に行けば、QRコードを読み込むと、重量計と連動して、1グラムでもズレたら次に行けないシステムになる。誰が作っても100点の硬さと味になる。かつて僕らが「今日の鶏肉、ちょっと硬いんちゃうか?」って手触りで判断してた部分を、データがやってくれる。寂しさもあるけど、僕らが泥臭く積み上げてきた「正解の味」を、機械が完璧に再現してくれるなら、それは進化やと思っています。

「スプーン一杯」に込めた命の重み。絶対に失敗できないプレッシャーとの闘い

――現場を知らない人間には想像しづらいのですが、ミキサー食を作る難しさ、責任とは具体的にどういうものなのでしょうか?

普通の食事やったら、腐ってたり変な味がしたりしたら「ペッ」て吐き出せるでしょ? でも、ミキサー食を食べるのは、噛む力も弱って、自分では意思表示ができないようなおじいちゃん、おばあちゃんなんですよ。もし、僕らが温度管理をミスって菌が増えてしまったら、あるいは異物が入ってしまったら、その一口が命取りになる。何かあっても吐き出す体力すらない人に食べさせるんやから、絶対に失敗は許されへんのです。

現場スタッフが感じてるそのプレッシャーは半端ないと思う。だからこそ神戸の工場で「ラインを通れば確実に中心温度90度まで上がってます」「データも全部残ってます」っていう状態にしてあげたらどうなるか。「機械で正確に測ったんやから絶対大丈夫や」って安心できる。

僕ね、あえて誤解を恐れずに言うなら、こういう命に関わる部分に関しては、人間が一生懸命やるより機械のほうが愛があると思ってるんです。情に流されず、体調に左右されず、絶対のルールで守ってくれる。だから、従業員に「ラクをさせる」んじゃなくて、精神的な重荷を下ろしてあげたい。それが僕の考える、製造現場における本当の優しさなんかなって思っています。

二つの工場を知る「最強のハイブリッド人材」へ。親心としてのキャリア論

――移管プロジェクトに関わる社員にとっては、住環境も変わる大きな転機です。吉井さんはこの経験をどう捉えてほしいと考えていますか?

まず中部工場で研修を受けてもらうことになるんですけど、そこで覚えてほしいのは「温度管理の数値」とかじゃないんです。それは神戸に行けば機械がやってくれるから(笑)。 覚えてほしいのは、介護食というものの「重み」と、基本的な「製造の流れ」ですね。サイレントカッター(加工機器)などの動かし方とか、どうやってパウチ詰めされていくかとか。まずは「作る」ことに関して100点を取れるようになってほしい。

その上で神戸に行ったら、そこはもう最先端の環境やから。中部で泥臭い作り方を知ってる人間が、神戸のデジタルな環境に入ったら最強なんですよ。「あ、これ機械がやってくれてるけど、本来はここが危ないポイントやったな」って気付けるから。 

だから求めてるのは、「機械に使われる人」じゃなくて、「機械がやってくれてる意味を理解して、その上で品質を見守れる人」。中部と神戸、両方を知れるっていうのは、これからのナリコマのキャリアにおいてめちゃくちゃ貴重な財産になるし、そんな経験できる会社はなかなか無いと思いますよ。

あとは業務スキル云々よりも2つの工場で働くことによる「人間関係」も大きい。僕自身、いろいろな工場を経験して大変だったけど(笑)、そのおかげで今、どの工場の誰とでも話ができる。それが僕の最大の強みですから。


――
まさに親心のような視点ですね。そうやって育てた部下たちが、将来どうなっていくことを期待していますか?

僕ね「育つのを待つ」っていうのはあんまり好きじゃないんですよ。「2年経ったら課長になれるかな」じゃなくて、まずは立場を変えて、仕事に取り組んでもらう。例えば、会議の議長なんかも「毎回同じやつがやらんでええ、交代制にしよう」って言うんです。「自分が聞きたいことを議題に上げたらええやん、主導権握れるチャンスやぞ」ってけしかける(笑)。そうやって場数を踏ませて、失敗してもええから「自分で決めて動かす」経験を積ませたい。

これからのナリコマは、もっともっと変化していきます。「これやりたいです」「これ変えましょう」って手を挙げる人間には、うちは驚くほどチャンスをくれる会社です。失敗しても、3回までは大丈夫ですから(笑)。それぐらいの気概のある人と、一緒に面白い工場を作っていきたいね。

◆インタビューに答えてくれた社員

吉井 彰男:製造本部 中部工場 工場長 /2005年中途入社
調理師として入社後、ナリコマの介護食(ソフト・ミキサー食)の黎明期に開発から携わったパイオニア。広島や関東など拠点の立て直しを次々と成功させてきた「現場の再建請負人」としてキャリアを重ねる。現在は中部工場を拠点に、ミキサー食の神戸工場への移管プロジェクトを指揮し、全社的なリスク分散と生産体制の強化を推進している。組織づくりで掲げるスローガンは「”にくい”を”やすい”に」。話しかけにくい雰囲気を払拭し、困っている仲間に「おせっかい」を焼き合う風土を醸成。常に「人を愛しなさい」という信念を持ち、泥臭く現場と向き合い続けている。

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