給食業務における人手不足やコストなどの悩みを抱えているときに、給食委託会社の利用で解決できることがあります。しかし、場合によっては新たな問題が生じることもあるのが難点です。メリットやデメリットもあり、委託というスタイルによって今までできていたことが簡単にできなくなることもあるでしょう。
給食委託会社の利用によるデメリットでは、関係の構築に時間がかかることがしばしば挙げられます。これは単にやり取りに時間がかかるだけでなく、いくつかのトラブルが生じて、解決するまでの時間も含まれるでしょう。給食委託会社と依頼する側のトラブルは、残念ながらさまざまにあり、給食委託会社と良好な関係を構築することは難しく複雑であることもわかります。
今回は、給食委託会社を利用する際の関係構築の重要性と共に、どうすれば良好な付き合い方ができるのかを解説します。トラブルを防ぐためのポイントを押さえた関わり方や、トラブルが起きた際の早急な解決ができるように、給食委託会社の利用の際には改めて意識しておきましょう。
目次
給食委託会社との関係構築の重要性
給食のように人に提供する食事には責任が伴い、病院や介護施設などでの給食はとくに重要な役割を担っています。そのため、給食の業務を他社に委託する際には、信頼して任せられるかどうかが重要なポイントとなります。前提として、委託した会社との良好な関係を構築することが必須になるでしょう。
関係の構築が上手くいかないと、要望が通らず希望通りの給食が提供されない、といったトラブルにつながる恐れがあります。予定していた食事の提供ができなければ、本来の目的を達成できなくなり、重要度が高い食事ほど危険も伴うでしょう。また、トラブルは給食だけでなく、現場の職員の人間関係にも発展することがあるため注意が必要です。
医労連による2023年〜2024年にかけての調査では、給食委託によって起こった問題として、人が来ない、衛生面の問題、配膳ミス、質の低下、委託会社職員とのトラブル、などの内容が挙げられています。人が来ない問題は36.8%、衛生面の問題は16.1%と、ある程度の割合を占めていることも難点です。こうしたトラブルを防ぐためにも、信頼できる給食委託会社との良好な関係構築が重要であることがわかります。
参照:日本医療労働組合連合会 「2023年 日本医労 病院給食実態調査」概要(調査期間2023年10月-2024年1月 回収123病院・施設)
給食委託会社と円滑な関係構築のためのポイント
給食委託会社とのトラブルでは、依頼する側の施設の管理栄養士が悩みを抱えているケースがしばしば見られます。依頼する施設側の悩みとしては、例えば下記のような内容があります。
- 献立が需要に達していない
- 献立や衛生面が気になっても言えずにストレスになる
- 献立を確認した後に変更されてしまう
- 要望を伝えても行ってもらえない
- 味がおいしくない
- 委託会社を変えたばかりですぐには変えられない
- 委託側と施設側の職員間でのもめごとが起きる
上記のように、一度の話し合いでは解決が難しいような事柄が複数あることが見られます。円滑に良好な関係を構築するためには、依頼する側もポイントを押さえた接し方が役立つでしょう。
目的や立場の違いを理解する
給食委託会社は、依頼する側の理想をそのまま引き継いでいる訳ではありません。給食委託会社はビジネスとして給食業務を行っています。依頼側と給食委託会社では目指す方向性に大きな違いがあるため、そこを理解することが大切です。そのうえで、より要望を通してもらうにはどうすれば良いのかを工夫して伝えていきましょう。
要望を相談形式で伝える
給食委託会社もまた自社の利益を追求しているため、依頼されたことをそのままできないこともあります。
そのため、要望を伝える際には、決まってから伝えるのではなく、厨房の事情も把握しながら相談形式で持ちかけることがポイントです。
時には断られることもありますが、その際も、できない理由を聞き理解することで次につなげやすくなるでしょう。
どうすればできるのかを追求することで、良い解決策が見つかることもあります。
また、口頭では伝わりづらい、記憶に残りづらい、などもあるため、伝えたいことや相談したことを書面に残しておくことも役立つでしょう。
要望を伝える際にはルールを守る
給食業務を委託している以上、依頼する側もその立場を遵守する必要があります。そのため、ルールに沿わない方法で、給食委託会社の職員に直接要望を伝えたり、注意をしたりしないように気をつけましょう。業務委託契約の内容を、関わる職員全員が理解しておくことも役立ちます。責任者を通じて情報伝達をするように決められている場合には、そのシステムを壊さないようにすることがトラブルを防ぐためのポイントです。
給食委託会社との関係が悪化したらどうするか
給食委託会社との関係が悪化した場合は、関係を再構築する、または給食委託会社を他社に切り替える、といった選択肢があります。
しかし、どちらも容易ではないため、慎重に検討し行動に移すことが大切です。関係悪化の原因がわかれば、再構築も可能なため、ひとまずは関わり方の見直しを行うのもおすすめです。コミュニケーション不足によって関係が悪化している場合には、人員配置や行動の仕方の変化なども交えてコミュニケーションのとり方を工夫するのも良いでしょう。
給食委託会社を次々に換えるのは現実的ではないため、切り替える際にはより慎重に次の会社を選ぶことが大切です。
現状の問題点を洗い出し、同じトラブルを招かないためにも、準備や検討を十分に行いましょう。新しい会社を選ぶ際には、要望に対して柔軟で対応力に優れている会社に注目するのも一つの方法です。相性の良い給食委託会社が見つからないときには、委託以外の方法を合わせて検討すると役立ちます。
給食委託会社からの切り替えは「ナリコマ」の選択肢も
給食委託会社の切り替えでは、今までの課題解決方法を踏まえて、委託から直営に切り替える方法もあります。直営で上手くいかず委託に切り替えた経緯を考えると難しく思えることもありますが、直営でもやり方を変えることで課題解決ができる可能性は十分にあるでしょう。相性の良い方法が見つかれば、委託によるデメリットの解決も同時にできることがあります。
ナリコマのサービスは、委託型ではなく直営型の厨房運営サポートです。病院や介護施設などの給食に必要な要素を揃えており、365日日替わりのクックチル献立のほか、嚥下レベルに合わせた介護食などもご用意しております。委託からの切り替えや、直営での初めての導入時には、現状把握と課題解決に向けた改善策のご提示からご協力いたします。
今までに導入された施設さまの中には、直営から委託を経てナリコマでの直営に行き着いたケースもあります。下記の導入事例もご参考ください。
導入事例:完全調理済み食品を使った直営転換で、部門間の格差を解消、連携を推進。本来の給食部門を目指して
まとめ
給食委託会社との良好な関係を築くことができれば、給食を委託しながらも目的とする食事の提供が可能です。関係の構築にはデリケートな面もあり困難に直面することもありますが、トラブルにはその都度対処し、時間をかけて良好なコミュニケーションを築いていくと良いでしょう。
それでもやはり理想の給食提供にたどり着けないといった場合には、視野を広げ新しい選択肢を見つけることも課題解決のための近道です。ナリコマでは、立ち上げ支援から専任のアドバイザーやコンテンツを通じてサポートしております。まずは資料請求や無料相談窓口からお気軽にお問い合わせください。
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