病院給食は、コストの上昇による赤字や人手不足など、近年さまざまな課題を抱えています。早急な解決策が望まれる中、対応方法の一つとして注目されているのが、セントラルキッチンの導入です。セントラルキッチンにはメリットとデメリットの両方があるため、導入前に特徴を整理しておくことが重要です。
病院給食にセントラルキッチンを導入すると、次のようなメリットが期待できます。
●大量調理による原材料費・光熱水道費・人件費などのコスト削減
●衛生管理の標準化・効率化
●給食の品質の統一化・安定化
●各病院の厨房内業務の効率化・簡素化
一方で、自社セントラルキッチンの導入においては次のようなデメリットもあるため、自社の環境に見合う解決策を見いだすことも大切です。
●自社セントラルキッチンの初期コスト・ランニングコスト負担
●長期的な費用対効果の検討が必要
●一ヵ所で調理を行うことによる衛生管理リスク
●アレルギー対応や治療食など個別対応が難しい
目次
病院給食が抱える課題
近年の社会情勢の影響もあり、病院給食部門では赤字や人手不足の課題が深刻化し、早急な解決が求められています。これらの課題に対応しながらも「おいしい食事を提供する」という根本的な役割を見失うことなく取り組むことが大切です。
コスト上昇による病院給食の赤字
病院の給食部門では、食材費や水道光熱費、人件費、給食の委託費など、さまざまなコストの高騰により、多くの病院で赤字が目立っています。公益社団法人日本精神科病院協会では、2025年6月の段階で病院給食費が約1,200円の赤字であることを提示しました。
コスト削減にあたっては、食材の質を落とす選択肢も除外できない事態となっており、管理栄養士を悩ませる大きな問題に発展しつつあります。患者さまの療養のための食事を提供するには、食事の質を落とさずにコストを削減することが重要です。

過酷な職場環境と人手不足
病院に限らず、給食の調理現場では人手不足が深刻化しています。病院給食部門においても、人件費の上昇とともに、調理スタッフの人手不足が大きな課題の一つです。給食の調理業務は、立ったまま長時間の作業を行ったり、早朝勤務が必要であったりと、業務内容が比較的過酷です。そのうえで現場の調理スタッフが減少すると、一人あたりの負担はさらに大きくなってしまいます。
調理スタッフを雇う予算がない、募集しても応募がない、など、複数の要因があわさり調理現場の人材確保が難しくなっている状態です。こうした状況の場合、一人あたりの業務負担が過度に増えないように、限られた人員でも安定して業務を運営できる体制への見直しも求められます。
食事がおいしくない
病院食が「まずい」と指摘されることは残念ながら少なくありません。理由としては、食事が冷めている・味が薄く感じられる・献立がマンネリ化している・見た目がおいしそうではない、などが挙げられます。
これらの課題は、調理方法や提供方法を工夫することで改善が可能です。しかし、先述したようなコストの上昇による経済負担や人手不足の課題が重なることで、課題解決に向けてさらなる工夫が求められています。
セントラルキッチンとは?
セントラルキッチンは、病院や介護施設、飲食店などで食事を提供する際に、その調理の主な工程を行う施設です。食材を大量に仕入れて、まとめて調理することで、調理作業の効率化やコスト削減につながります。
セントラルキッチンの役割
セントラルキッチンの役割は、調理を一ヵ所に集中させることです。セントラルキッチンで調理の大半を行うことで、病院などの施設での調理は必要最低限に抑えることができ、調理負担の軽減につながります。セントラルキッチンには主に次のような特徴があります。
- 一ヵ所でまとめて食材の仕入れや調理を行う
- 個々の施設の調理作業を効率化させる
- 個々の施設で提供する食事の味・品質を統一する
- 衛生管理を標準化させる

自社セントラルキッチンとOEMサービス
セントラルキッチンの導入では、自社でセントラルキッチンを設ける方法と、他社のセントラルキッチンに製造を委託する方法があります。食品製造を他社に委託する方法は「OEM(Original Equipment Manufacturer)」と呼ばれ、自社で製造設備を保有する必要がない点が大きな特徴です。以下は、それぞれの導入方法に向いている施設の特徴や、導入時の課題の一例です。
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導入方法 |
向いている施設の特徴 |
導入時の課題 |
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自社セントラルキッチン |
・予算に十分な余裕がある ・物件の目途が立っている ・運営施設が複数あるなど、食事の提供数が多い |
・物件の取得や必要な設備の設置、人員の確保、配送環境の整備など、一から準備が必要 ・ランニングコストも踏まえて、長期的に安定した運営環境が求められる |
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OEMサービスの活用 |
・自社でセントラルキッチンの設備を保有・運営できる余裕がない ・既に予算にあまり余裕がない ・食事の提供数が少ない |
・自社の求める品質やニーズに合うサービスを探すことが必要 ・メニューの相談など、他社との円滑なコミュニケーションが求められる |
自社セントラルキッチンのメリットとデメリット
セントラルキッチンの導入には、さまざまな利点がある反面、導入では負担になる部分もあります。自社セントラルキッチンを導入する際には、メリットとデメリットの両方を把握しておきましょう。
自社セントラルキッチンのメリット
自社セントラルキッチンを導入すると、調理を一ヵ所に集中させることでさまざまなメリットを得ることができます。
コスト削減が期待できる
セントラルキッチンでは、大量の調理をまとめて行うことでコスト削減が期待できます。生産性が向上するほか、食材をまとめて仕入れて一ヵ所に配送してもらうことで、原材料費や配送費のコスト削減に役立つでしょう。食事を提供する施設では少人数でもできる簡単な調理で良いため、施設の調理設備にかかるコストを抑えられるほか、人件費の削減にも役立ちます。
調理環境の管理がしやすくなる
セントラルキッチンは調理に集中した施設のため、環境を管理しやすいメリットもあります。作業をマニュアル化することで、個々の能力を問わず作業を任せやすくなり、作業を分割することで効率も上がるでしょう。あわせて、衛生管理がしやすくなることもメリットです。
食事の品質が安定する
セントラルキッチンでまとめて調理することで、食事の品質が安定するメリットもあります。調理過程を分割しマニュアル化することで、それぞれの人の能力を問わず調理が平均化されるため、作る人によって味わいが変わることを防げるでしょう。また、複数の施設を運営する場合にも、セントラルキッチンから同じ食事を提供すれば、施設ごとに味わいが変わることもありません。

自社セントラルキッチンのデメリット
多数のメリットがあるセントラルキッチンですが、導入しない選択肢をとる施設や店舗もあります。自社でセントラルキッチンを設ける場合は、初期費用やランニングコスト、人材確保などの負担についてもあわせて検討することが必要です。
初期費用やランニングコストがかかる
セントラルキッチンの導入でコスト削減に役立つメリットがあるものの、自社セントラルキッチンを導入するまでの初期費用をはじめ、運営する際のコストがかかります。施設の確保や設備にかかる費用、セントラルキッチンのスタッフの人件費、調理した食品の配送費などがかかるため、現状と導入した場合の費用の差をよく検討することが大切です。
食事の品質が落ちる可能性がある
セントラルキッチンで調理が効率化されるものの、食事が必ずしもおいしくなるとは限りません。出来たてを食卓に運べないといったデメリットもあるため、おいしい食事を提供するための工夫が必要です。また、セントラルキッチンで食中毒が起きると全ての食事の提供がストップし、被害も大きくなるため、食品の鮮度を低下させないように徹底した衛生管理が重要です。
セントラルキッチン方式で病院給食は変わる?
セントラルキッチンの導入によって、病院給食の課題である赤字対策や人手不足の解決に役立つ可能性があります。セントラルキッチン方式を採用している病院もあり、院内で調理をしないケースも見られるようになりました。セントラルキッチンの普及によって、病院給食の環境が今後さらに変化していくことも考えられるでしょう。

実態として賛否両論はありますが、2023年10月~2024年1月にかけて実施された日本医療労働組合連合会の病院給食実態調査においても、病院給食運営の全面または一部委託・セントラルキッチンなどの運営形態は7割を超えています。
一方で、セントラルキッチンの導入においては、初期投資やランニングコストの負担があり、長期的な費用対効果の検討が必要になるほか、衛生管理リスクや個別対応が難しくなるといったデメリットもあります。
そのため、セントラルキッチンの導入だけに選択肢を絞らず、給食の委託や完全調理済み食品の購入などの外注サービスに幅広く視野を広げて検討することもポイントです。
ナリコマのクックチルで病院給食のお悩みを解決
病院給食の運営形態を変えるのは難しい面もありますが、セントラルキッチンの導入や外部委託で相性の良い方法を選ぶことで負担改善につながることがあります。自社セントラルキッチンの導入が難しい場合は、セントラルキッチン機能を持つ外部サービスを検討することも有効です。
ナリコマでは、病院や介護施設におすすめのクックチル食品をご提供しており、委託ではなく直営での厨房運営をサポートしています。ナリコマのセントラルキッチンは全国に6ヵ所あり、徹底した衛生管理のもとにクックチルの完全調理済み食品を製造しています。また、盛り付けまで事前に行ってセットしておき、提供前にタイマーで自動再加熱できるニュークックチル方式にも対応可能です。

以下は、病院給食の課題解決に役立つナリコマのクックチル食品の特徴です。
- 嚥下力や咀嚼力に合わせて選べる4つの食形態:普通食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食
- アレルギーなどの禁止食に別献立で対応可能
- 病院の院内基準の治療食へ対応可能
これまで複数の病院で導入いただき、人材確保が難しい、コストを削減したいといった課題が改善したという声をいただいています。また、味わいがおいしいとの評価をいただいており、病院食の満足度向上にもつながっているようです。
ナリコマの導入事例
まずはぜひ一度、無料相談でお悩みをお聞かせください。課題に合わせて、最適な運用プランをご提案いたします。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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