地震や停電などの災害時、病院や介護施設にとって「食事を止めないこと」は命を守る責務です。厨房業務の災害対応を考えるうえで欠かせないのが、BCP(事業継続計画)の整備と、非常時の食事提供体制の構築です。今回は、備蓄食・冷蔵食の活用方法や、災害時にも柔軟に対応できるニュークックチルのしくみを紹介します。もしもの時にも、安心して食事を届けられる「止まらない厨房づくり」を目指す施設さまはぜひチェックしてください。
目次
厨房業務の災害対応が重要な理由とは|「止まらない食事提供」を実現するために
災害が起きても、食事を提供し続けること。それは病院や介護施設にとって、命を守る大切な使命といえるでしょう。
災害時に起こりやすい厨房トラブルとは
地震や停電、断水などの災害が起きると、調理機器が使えなくなったり、冷蔵庫が止まってしまうことがあります。電気が止まれば冷蔵庫の温度はどんどん上がり、食材が傷む危険も。水道が止まれば洗浄や消毒ができず、調理器具を再利用できなくなってしまうことも。ライフラインがほんの少し停止するだけでも、食事の提供体制を止めてしまう可能性が非常に高くなるのです。
人手・電力・物流が止まると厨房も止まる
災害時には停電や断水の他にも、スタッフが出勤できない、人手が足りない、配送が止まるなど、人や物資の流れが止まりやすくなり、さまざまな問題が重なります。厨房業務は、人・電力・物流の3つがそろってはじめて成り立つものなのです。どれか1つでも欠けると、調理も配膳もスムーズに進まなくなってしまいます。だからこそ、「限られた状況の中でどう回すか」を平時から考えておくことが大切です。

平時からの備えがBCP強化につながる
災害対応を強くする一番のポイントは、「日ごろの備え」でしょう。人員配置、代替調理法、食材備蓄のルールなどをあらかじめ決めておくと、被災時の混乱を大きく減らせます。BCPは特別な計画ではなく、日常の延長にある“安心の仕組み”と考えると取り組みやすいでしょう。
BCP(事業継続計画)とは、「災害などの緊急事態が起きても、できる限り業務を続けるための行動計画」のことです。病院や介護施設では、食事の提供を止めないことがBCPの中心になります。人員確保・調理機器の代替手段・備蓄食や冷蔵食の活用ルールなど、平時からの準備が欠かせません。
BCPと聞くと難しそうに聞こえますが、実は日常業務の延長線上にある「安心の仕組み」と考えましょう。普段の調理や食材管理の中に、少しずつ非常時を意識した仕組みを取り入れていくことで、もしもの時にも慌てずに対応できる強い厨房をつくることができるのです。
BCPで守る災害時の厨房業務
BCP(事業継続計画)は、災害時にも食事提供を止めないための実行計画。厨房業務でも、この考え方を運用に落とし込むことが重要です。
厨房で想定すべきBCPのチェックポイント
厨房でBCPを立てるときは、次のポイントを意識しましょう。
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人員確保・連絡体制 |
職員の緊急連絡網などを整備し、勤務時間外の連絡体制・参集基準を明確にしておく |
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食材 |
配送が止まったときに備えて、備蓄食・冷蔵食でまかなえる体制を整える |
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設備 |
停電時に使える加熱方法や冷蔵手段、運搬手段を確認しておく |
これらを事前に整理しておくことで、非常時食事提供の「どうする?」を減らせます。災害時の混乱を最小限に抑えるためにも、BCP対策は重要です。
非常時食事提供の流れを想定したシミュレーション
実際に「停電したらどう動く?」「人が半分しか来られなかったら?」と想定して動いてみることは大変効果的です。調理時間や配膳を短縮する手順を試しておくことで、現場での課題も見えてくるでしょう。机の上で考えるだけでなく、実際の動きを体で覚える訓練が大切です。

代替手順と役割分担を決めて混乱を防ぐ
災害対応時には、普段の担当者がいなかったり、停電によって使えない設備があったりするものです。混乱を防ぐのと同時に、どんなときでも食事の提供が止まらないように、代替の手順と役割を明確にしておきましょう。紙で見られるマニュアルを用意しておくと、停電時でも安心できます。
🔍厨房のBCP対策については、こちらもご確認下さい。
備蓄食・冷蔵食を活用した非常時食事提供|限られた環境でも安全に届ける工夫
災害時に頼りになるのが、備蓄食や冷蔵食です。これらをうまく活用すれば、設備が限られた中でも安心して食事を届けられます。
長期保存できる備蓄食を計画的に活用する
備蓄食は溜めておくだけではなく、「使いながら回していくこと」が大切です。この考え方を「ローリングストック方式」といいます。ローリングストックとは、普段の食事で備蓄食品を少しずつ使い、使った分を買い足して常に一定量を備えておく方法を指します。政府なども奨励しているローリングストックですが、備蓄食を非常時のためにだけ置いておくのではなく、日常の食事で循環させることで、賞味期限切れを防ぎつつ、実際に調理・提供できる状況を常に保てるのです。レトルト食品・缶詰・冷凍食材などを通常献立にも組み込んでおけば、自然と使い慣れた状態にできるため、災害時にも普段と近い食事をスムーズに提供できます。

食形態に合わせた備蓄食を用意する
利用者の食形態や栄養管理に応じた備蓄内容を整えることも重要です。嚥下機能や食事制限のある方が多い施設では、「誰にどんな食事を提供できるか」まで想定したローリングストック体制が求められます。備蓄リストや入れ替えスケジュールを職員全員で共有し、「いつ・何を・どれくらい使うか」を明確にしておきましょう。
🔍BCP策定に関する詳しい情報はこちらもご確認下さい。
非常時の食事提供はニュークックチルでスムーズに|平時・非常時どちらにも強い仕組み
非常時にも食事を止めないためには、平時の調理方法そのものを見直すことも大切なポイントです。調理作業や衛生管理の負担を減らしながら、災害時にも柔軟に対応できる「ニュークックチル」は平時にも非常時にも強い調理システムです。
ニュークックチルのしくみと運用の流れ
ナリコマのニュークックチルでは、セントラルキッチンで調理した料理を使用します。調理終了後30分以内に冷却を開始し、90分以内に中心温度を3℃以下まで下げます。細菌が繁殖しやすい温度帯(10〜45℃)を短時間で通過させ、衛生リスクを最小限に抑えた状態でチルド食が完成します。施設に配送されたあと、チルド状態の料理を専用の食器に盛り付け、再加熱カートやリヒート機器などの専用機器にセット。設定した食事提供時間に合わせて自動で再加熱が行われるため、温かい状態のまま提供できるのが大きな特徴です。
再加熱カートは庫内に温・冷の2つのスペースを備えているので汁物は温かいまま、サラダは冷たいままといった対応も1台で対応できます。一方、リヒートは据え置き型で冷スペースがありませんが、サイズも小さく費用面でも導入しやすいといった特徴があります。施設の規模や提供形態に合わせて、最適な機器を選べます。
災害時にも強いニュークックチル|人手・衛生リスクをカバー
ニュークックチルは、調理と冷却をセントラルキッチンで完結しているため、施設では盛り付け、再加熱、提供のみで運用できます。原材料の管理が不要なため、物流が一時的に止まったり、災害時や非常時に人員が減ったりしても、チルド状態の食事なら最低限のスタッフで提供可能です。再加熱機器は自動運転のため、手が足りない状況でも提供スケジュールを崩さずにすみます。停電によって再加熱機器が使用できなくなった場合、施設によっては非常用電源やガス式再加熱機器を組み合わせることで、停電時にも一定の再加熱対応を行える体制を整えているところもあります。

ニュークックチルには衛生面でも強みがあります。セントラルキッチンでは厳密な温度管理のもとで調理・冷却を行い、細菌が繁殖しやすい温度帯を短時間で通過させているため、停電などで一時的に保管環境が変化してもリスクを最小限に抑えられます。ニュークックチルは人手と衛生リスクの両面をカバーし、電力復旧後の速やかな提供再開にも寄与します。災害時の「止まらない厨房づくり」に有効なしくみです。
ナリコマが支えるBCP対策と非常用備蓄食
ナリコマでは、ニュークックチルの導入支援に加えて、災害時の食事提供を支える非常用備蓄食も提供しています。前述したように、普通食だけでなく、ソフト食、ミキサー食、ゼリー食を併せた4つの食形態をご用意しています。
ナリコマの非常食の特徴①組み合わせに悩まない
一般的な防災基準で推奨される「3日分の非常食」を用意しており、複数メーカーの商品を組み合わせる必要がなく、届いたセットでそのまま提供できます。
ナリコマの非常食の特徴②誰でも調理・提供可能
人手が足りない非常時でも誰でも簡単に調理・提供できる設計で、温めずにそのまま召し上がることも可能です。再加熱機器が使えない停電時にも対応できるため、BCP対策の中でも「最終ラインの食事提供手段」として大きな役割を果たします。
ナリコマの非常食の特徴③長期保存を考慮したパッケージ
強度の高い段ボールを採用しているため、縦に積んだ状態で長期間保管ができ、直射日光を避けて常温で保管も可能です。普通食・ソフト食・ミキサー食は賞味期限2年6ヶ月以上、ゼリー食も1年6ヶ月以上の保存期間を確保しています。
また、ナリコマの非常食はニュークックチルとかわらない味付けのため、ローリングストック方式で日常的に使いながら備蓄を更新できます。これにより、「平時の効率化」と「非常時の備え」を無理なく両立できます。
🔍ナリコマのひまわり非常食に関する詳しい情報はこちらもご確認ください。
厨房業務の災害対応は「備え」と「しくみ」で強くなる!
災害時に食事提供を止めないためには、事前の備えと仕組みづくりの両立が欠かせません。人員確保や調理手順の見直しといった基本的な対策に加え、BCP(事業継続計画)に基づいた厨房運営を整えておくことで、「誰が・何を・どう動くか」を明確にし、混乱を最小限に抑えられます。
さらに、非常時の食事提供を支える手段として、ナリコマのニュークックチルと非常用備蓄食を組み合わせることで、平時も非常時も安定した食事提供体制を構築できます。チルド状態での保存・再加熱による柔軟な運用に加え、非加熱でも食べられる備蓄食を3日分確保しておけば、停電や人手不足など、さまざまな状況にも対応可能です。

ナリコマでは、調理システム・備蓄体制・運営マニュアルまで、現場で実践できるBCPサポートをトータルで提供しています。厨房業務の災害対応強化をお考えの際には、ぜひナリコマへご相談ください。「止まらない厨房」を実現するために、まずは自施設の備えと仕組みを見直してみませんか?
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「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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