数多くの病院や介護施設では、患者や利用者への食事提供を行っています。提供方法はさまざまですが、今回取り上げるのはクックチルとニュークックチルの二つ。これらは、次のようなメリットがあり、導入する病院や介護施設も増えています。
●厨房業務の効率化と人員削減
●食事の安全性向上、品質安定、コスト削減
効率化と人員削減については、特に注目度が高い部分です。本記事ではクックチルとニュークックチルの共通点と相違点をまとめて解説。ニュークックチルに必要な再加熱機器(再加熱カート、リヒートウォーマー)についてもご紹介します。ぜひ導入検討の際にお役立てください。
目次
病院や介護施設で導入が進む新調理方式

病院や介護施設の食事は、もともと厨房で調理してそのまま提供するクックサーブで対応していました。クックチルやニュークックチルは新調理方式(新調理システム)と呼ばれており、現在は多くの病院や介護施設で導入が進んでいます。
名称が似ていることから想像がつくかもしれませんが、クックチルとニュークックチルには調理工程における共通点があります。本項目では、共通点とともに、それぞれのメリット・デメリットを比較していきます。
クックチルとニュークックチルの調理工程
では、クックチルとニュークックチルの調理工程をみていきましょう。
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クックチル |
ニュークックチル |
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↓ |
↓ |
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食材の大量仕入れ・下ごしらえを行う |
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↓ |
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加熱調理後、調理終了後30分以内に冷却を開始する |
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↓ |
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90分以内に中心温度が3℃以下になるよう冷却する |
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↓ |
↓ |
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チルド状態で保存する (適温:0〜3℃) |
チルド状態で器に盛り付けて、そのまま保存 (適温:0〜3℃) |
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↓ |
↓ |
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再加熱を行う |
器やトレイごと再加熱を行う |
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↓ |
↓ |
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器に盛り付け、配膳を行う |
配膳を行う |
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二つの調理方法で最も重要なのは、チルド状態で保存すること。食中毒などの原因菌が繁殖しにくくなるため、食の安全性が高まります。大量の食事を提供する病院や介護施設では、食中毒などの被害が広がりやすいため、徹底した対策が欠かせません。また、チルド状態での保存期間は加熱調理した日を含めて5日間とされています。
クックチルとニュークックチルのメリット・デメリットを比較
続いて、クックチルとニュークックチルのメリット・デメリットを表にまとめてみました。
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メリット デメリット |
クックチル |
ニュークックチル |
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メリット 【共通】 |
厨房業務の効率化と人員削減 クックサーブは食材の下ごしらえから提供まで、まとまった時間が必要です。その点、クックチルとニュークックチルはいったんチルド状態で保存するため、業務スケジュールが組みやすくなります。食事提供に関する業務が分割されることで、人員の配置変更や削減も可能です。 |
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食の安全性向上 チルド保存により、食中毒などの原因菌が繁殖しにくくなります。 |
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食事の品質安定・コスト削減 大量の食材をまとめて調理するため、品質が安定しやすくなります。これに伴い、食材費や水道光熱費も削減することができます。 |
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メリット |
食数や盛り付けの変更が可能 提供直前に再加熱・盛り付けを行うため、当日でも変更できること(例:再加熱を行う前の食数調整、器や盛り付け方の変更など)があります。 |
盛り付け作業のリスク低下 冷たいまま盛り付けを行うため、火傷などの事故が起こりにくく、食中毒などのリスクも低下します。 |
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提供時の人員削減 盛り付けを先に済ませているため、再加熱から提供までの時間が短くなります。作業量が少なく、人員削減も可能です。 |
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温かい食事の提供 再加熱してすぐ提供できるため、料理が冷めにくく、温かいまま食べてもらうことができます。 |
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デメリット 【共通】 |
保存スペースが必要 料理の保存スペースを確保する必要があります。ニュークックチルは器に盛り付けてから保存するため、通常の冷蔵庫では対応が難しく、専用の再加熱機器を導入するケースがほとんどです。 |
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献立バリエーションの限定 再加熱するため、料理によって向き・不向きがあります。揚げ物、炒め物、焼き物などはあまり向いていないとされています。 |
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デメリット |
盛り付け作業におけるリスク 温かい料理を盛り付けるため、ニュークックチルよりも火傷や食中毒などのリスクが高まります。 |
導入コストの増大 ニュークックチルで必要な再加熱機器は数百万ほどのコストがかかります。メーカーや機種にもよりますが、クックチルと比較すると、導入コストはかなり高くなります。また、再加熱機器に対応した器に入れ替える必要もあります。 |
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食事の温度が不安定 盛り付け作業で食事の温度が下がり、温かい料理が冷めてしまうこともあります。 |
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再加熱機器(再加熱カート、リヒート)とは

ニュークックチルには再加熱機器が必要とお伝えしましたが、主流となっているのは再加熱カートです。再加熱カートの主な特徴は、器に盛り付けた料理をそのままチルド状態で保存することができ、提供時間に合わせて自動で再加熱ができること。構造はメーカーによって多少異なりますが、温菜も冷菜もまとめて保存できる点が大きな魅力です。
基本的にはキャスター付きで、そのまま配膳車として使うことができます。専用の器は、メーカー独自の素材や形状など、さまざまな工夫を凝らしたものがあります。再加熱時の熱風に耐えられることを前提に、最適なものを選びましょう。
リヒートウォーマーや温冷配膳車との違い
リヒートウォーマー
リヒートウォーマーは再加熱カートによく似ていますが、冷蔵スペースがありません。さまざまな再加熱方法があり、熱風循環、熱伝導、電磁波誘導、加熱蒸気、マイクロ波といった技術が使い分けられています。再加熱カートより安価ですが、据え置き型になるため配膳には活用できません。
温冷配膳車
温冷配膳車には保温スペースと冷蔵スペースが備わっていますが、再加熱機能はなく、ニュークックチルには対応していません。
クックチルやニュークックチル導入判断のポイントは「人手不足」

昨今、病院や介護施設の厨房では人手不足が深刻化しています。その主な理由は過酷な労働環境。大人数を対象とした食事の仕込みには、時間も労力もかかります。
たとえば、朝8時に提供する朝食の仕込みを想定してみましょう。食材の下ごしらえから調理、提供までを見越したスケジュールでは、少なくとも朝4時や5時といった早朝に出勤しなければなりません。また、夕食後に食器や機器の洗浄をするため、深夜まで勤務するというパターンもあるでしょう。
このようなパターンでは、始発や終電がなく対応できない、体力的に厳しいといった問題が浮き彫りになってきます。その結果、病院や介護施設の厨房に人が集まりにくくなっているのです。
また、日本は少子高齢化の傾向にあり、将来的には人手不足がさらに進むといわれています。医療・介護業界も影響を受ける可能性が高く、厨房のスタッフが足りなくなるかもしれません。厨房業務全体を効率化できるクックチルやニュークックチルの導入は、今後の人手不足対策としても有効といえるでしょう。
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